多重債務の取扱い
設備投資をして従業員がふえる場合には,このような固定費のほかに,固定給の給料手当など(人間関係の固定費)もふえます。
上掲の例(表8-1の場合)では,固定費は300万円で,狭義の損益分岐点は,つぎのように750万円です。
この固定費300万円を年額としますと,年間の売り上げが750万円以上ないと,費用の回収ができないわけです。
狭義の損益分岐点=固定費÷(1−変動費率60%)いま,1,000万円の設備投資をして,固定費が年間で,その17〜18%の170万〜180万円ふえるとしますと,狭義の損益分岐点は,つぎのように1,200万円になります(単位当たりの変動費は変化しないとする)。
したがって,年間の売り上げが450万円以上にふえないと,費用の回収ができないことになります。
狭義の損益分岐点=(固定費300万円十固定費の増加設備投資後の目標利益(年間)を250万円としますと,設備投資後では,年間の売り上げが,つぎのように1,375万円なければならないということになります。
1,375万円の売り上げがないと,目標利益をあげることができなくなるわけです。
目標の売り上げ=(固定費300万円十目標利益250万円)この例では,設備投資をしても,変動費率60%で,変動費率は変化しないとして,狭義の損益分岐点などを計算しましたが,設備投資をしますと,変動費率が変化することもあります。
その場合にはもちろん,上の狭義の損益分岐点などの算式中の変動費率を予測される変動費率として,狭義の損益分岐点などを計算します。
以上のように,ある種(ある代案)の設備投資をしますと,固定費がどれだけ増加し,また狭義の損益分岐点や,目標の利益をあげるのに必要な売り上げがどうなるかを検討します。
そのような必要な売り上げができないと考えられる場合には,その設備投資案は不採用とし,それ以上の売り上げができると考えられる設備案を採決するわけです。
設備投資の際の利益の計画設備投資をすると,固定費がどれだけふえるか,また売り上げがどれだけ増加するかを考えますと,利益がどうなるかも損益分岐点分析で予測できます。
上の例で,1,000万円の設備投資をして,固定費が年間で,その17〜18%の180万円増加して480万円になるとします(設備投資前の固定費は300万円)。
また,1,000万円の設備投資をしますと,年間の売り上げを1,500万円にふやすことができるとします(設備投資前の年間の売上高は,1,000万円とする)。
その場合には,つぎのように,年間では120万円の利益がえられると予測されます。
利益こ予想売上高1,500万円×(1一変動費率60%)設備投資をすると,変動費率が変化する場合には,もちろんこの算式中の変動費率を予測した変動費率として,利益を予測します。
このようにしますと,設備投資後の利益が予測できます。
また設備投資をすると,固定資産がどれだけ増加するか,また設備投資によって,売掛債権,製品などの流動資産がどれだけ増加するか(売掛債権,製品などの回転期間で,売掛債権,製品などが,どれだけ増加するかが計算できる),したがって,資産合計(総資本)がどれだけ増加するかも予測できます。
設備投資後の利益と総資本を予測しますと,設備投資後の投下資本(総資本)利益率も予測できます。
設備投資(案)ごとに,このような投下資本利益率を予測します。
投下資本利益率の高い設備投資案を採決し,投下資本利益率の低い設備投資案は落とします。
そのようにして設備投資を計画することもできます。
損益分岐点分析という方法などで,利益計画をたてますが,利益計画には利益統制をともないます。
統制なき計画は,「画に描いた餅」で,無意味であり,無効です。
利益統制というのは,目標の利益(したがってまた,目標の売上高,費用)を実現していくように売り上げと費用の担当者,担当部門を指揮監督すること,実際の利益(したがってまた,売上高,費用)を目標の利益(したがってまた,売上高,費用)とたえず(毎丹)比較して,実際の利益と目標利益との差異を分析検討することです。
この諸ステップの利益統制のうちで,とくに重要で説明を要するのは,利益差異分析でしょう。
利益差異分析の仕方にも,いろいろな方法があり,また考えられますが,利益差異分析として,とくに重要と思われますのは,ふつうの型の利益差異分析と限界利益型の利益差異分析です。
まずふつうの型の利益差異分析から説明しましょう。
ふつうの型の利益差異分析実績(実際)の利益と目標(計画)利益との差異(以下,利益差異と称する)は,まず,つぎの式のように示すことができます。
利益差異=実績利益一。
目標(計画)利益=(実績売上高一実績費用)−(計画売上高一計画費用)=(実績売上高一計画売上高)−(実績費用一計画費用)=売上高差異一費用差異。
この式の示すように,実績の売上高と計画の売上高との差異(以下,売上高差異と称する)と,実績の費用と計画の費用の差異(以下,費用差異と称する)との差が利益差異となります。
ふつうの型の利益差異分析というのは,この売上高の差異と費用の差異が,それぞれどういう理由原因で生じたかを分析検討する方法です。
これが,まず考えられる利益差異分析の方法で,その意味で,ふつうの型の利益増減分析といえるものです。
売上高差異の分析PXM方式とPXM方式売上高は販売価格と販売量との積ですから,実績(実際)の販売価格をP,販売量をMとすると,実績の売上高はPXMで示されます。
同様に計画の販売価格をp,販売量をMとすると,計画の売上高はPXMで示されます。
ですから,売上高の差異は,つぎのような式で示されることになります。
売上高差異この式に,PXMづこれは計画の販売価格Pと実績の販売量Mとの積ですから,販売価格に差異変化なしとした場合の売上高を意味する)をプラス・マイナスで挿入しますと,つぎの式のようになります。
この式の(A)の部分は,実績売上高PXMとPXMとの差異で,販売価格の差異変化によって生じた売上高差異となり,また(B)の部分は,PXMと計画の売上高PXMとの差異で,販売量の差異増減によって生じた売上高差異となります。
また式に,PXMこれは,実績の販売価格Pと計画の販売量Mとの積であるから,販売量に差異増減なしとした場合の売上高を意味する)をプラス・マイナスで挿入すると,つぎの式のようになります。
この式の(A)の部分は,実績売上高PXMと,PXMとの差異で,販売量の差異増減によって生じた売上高差異となり、この部分は,PXMと計画売上高PXMとの差異で,販売価格の差異変化によって生じた売上高差異となります。
売上高差異分析の図解以上のように,(DpXMでも,またPXMでも,売上高差異がどういう理由で生じたかが分析できますので,のPXで差異分析する方法と,のXMで差異分析する方法とのどちらがよいかということが問題になります。
これは,図10-1で考えるとわかります。
なお,この図で「差異」としてあるのは売上高差異のことです。
量は減少している場合です。
この場合には,PXMで,販売価格の差異による売上高の差異と販売量の差異による売上高の差異が算出できます。
この場合には,PXMで売上高の差異を分析するのがよいわけです。
これは増加の場合です。
この場合には,PXMで,販売価格の差異による売上高の差異と販売数量の差異による売上高の差異が算出できます。
この場合には,PXMで売上高の差異を分析するのがよいわけです。
量も減少の場合です。
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